式の会62016/05/11

お茶事入門編の集大成は「利休・宗旦の侘茶」。

利休が追求した理想の侘茶は「小間の侘茶」。街庵や山里丸などの極小の茶室、伝来の道具を尊重しながらも見立ての道具を使うなどの創意工夫は、侘びを芸術的に表現した最高峰と言われてる。
ただ、秀吉の権勢期の茶頭を務めたのだから侘びの生活はできなかった。逆に宗旦は生涯を通じて権門には近づかず世俗の交わりを求めず清貧に甘んじた生活に徹した。

では宗旦の侘茶はどんなふうだったのか。記録が少なくあまりよく分かっていないのだが
「本来禅によるがゆへに、さらに示すべき道もなし」(茶話指月集より)という。
宗旦好みの一閑張の棗と、利休の好んだ真塗りの棗の対比などは初心者にも分かりやすい話だ。

さてこの日の茶事は、道庫。道幸、堂庫などとも書かれるが置き水屋のこと。押入れの扉を開けると道具の支度が揃っていて左手でさっと取り出せるようになっているのだ。点前の最中に運びの所作がなく高齢者向きと言われるが、小間で客とより親密な雰囲気ができて楽しいと思う。棗のほか煙草盆も一閑。花入れには神酒筒。

二人とも単衣の色無地です。